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消費者はすべてを求める

オンラインとリアルを融合した「ハイブリッド・ショッピング」、サステナビリティー、自分の価値観にあった「パーパス・ドリブン」なブランド

2022年のメーカー各社と小売企業は、あらゆる場面で存在感を示し、消費者と価値観を共有していることを示していかなければならない。

コロナ禍における市場の変化の中で消費者は厳しい状況にあるが、一方ではしなやかな回復力がある。彼らは極端な状況にもクリエイティブな方法で適応し、テクノロジーを使った新たな手法で不確実性を乗り越えてきた。メーカー各社にも同じことが期待されている。

消費者は、もはやオンラインとオフラインのショッピングを別々の体験とは考えていない。すべてが常につながっていることを当然と考えている。ショッピングは時には迅速かつ効率的に、時にはリッチな体験重視型であり、そして常に簡単かつ直感的に実行できるものでなければならない。さらに消費者は、企業が消費者たちのニーズに応え、社会的責任や環境への責任を果たすことを期待している。

消費者は自分の価値観に合うかどうかで商品やブランドを選んでいる。このように目的(パーパス)を意識している消費者 は、全体の中で最大の割合(44%)を占めている。

小売各社やメーカー各社は、コロナ禍に生まれたこのような新しい消費者の期待に対し、自社の商品や能力を適応させなければならない。では、必要不可欠な変化対応とは何であろうか。消費者行動を再定義する要因をより明確に把握するために、IBM Institute for Business Value(IBV)は、2021年9月、全米小売業協会(NRF)と共同で、28カ国の1万9,000人以上の回答者を対象に、グローバルな調査を実施した。

その結果、過去2年のうち大半をバーチャルな世界で過ごしてきた消費者は、デジタル・ツールが今やショッピング体験に必須の要素であると考えていることが分かった。消費者は実店舗に対してはデジタルへの対応を期待しており、またメーカー各社や小売企業に対しては物理的なチャネルとデジタル・チャネルを融合した「ハイブリッド・ショッピング」のサポートを期待している。これは特に他の世代と比較して、Z世代が最もハイブリッド・ショッピングを利用している。

消費者全体の27%がハイブリッド・ショッピングを主な購入方法として利用している。とりわけ、Z世代では、この数字は36%と他のどの世代よりも大きな割合となっている。

パンデミックによって、消費者のサステナビリティーに対する見方も変化してきた。今日の消費者は年齢を問わずメーカーや小売企業に対して、よりサステナブルな買い物ができることを求めている。実際現在では、商品やサービスの購入において自分の価値観やライフスタイルに合ったブランドを優先して選ぶ消費者が、すべての商品カテゴリーにおいて最大の割合を占めている。

消費者自らがコントロールするショッピング体験

2022年もメーカー各社と小売企業は、顧客との関係性をさらに実り多きものにする機会を得るだろう。しかしその前に、自社の商品やサービスに価値があると示す必要がある。今日の消費者はデジタルに強く、目的意識もある。自らの価値観に合ったブランドを見つけることを重視し、そのための情報収集も怠らない。こうした消費者は、あらゆる面で今まで以上に多くのことを要求しており、企業はその要求を満たすべくレベルアップしなければならない。

消費者の4人中3人近く(72%)は、主な購入方法の1つとして実店舗を利用している。

しかし、それは容易なことではない。現在、小売業界および消費財業界はサプライチェーンの混乱や人材不足といったプレッシャーにさらされている。そのような状況下で各社はクリエイティビティーと効率性をさらに高める必要に迫られている。この事態を受けて、小売各社および消費財各社の経営層の半数以上(それぞれ58%と55%)は、需要の変化に迅速に適応するため、素早く対応できる体制の構築に重点的に取り組んでいる。

このような環境の中で、小売企業やメーカー各社は顧客が自らのショッピング・ジャーニーを構築できるよう支援する必要がある。そのためには、目的意識を持って市場をリードし、差別化のためにテクノロジーを利用する必要がある。それと共に、商品(商品の調達、製造、および配送方法を含む)を通じて各社の価値観を実感できるよう伝えていかなければならない。そのためにはまず、顧客が実際に何を求めているのかを理解することがスタート地点となる。

テクノロジーを活用したタッチポイント:
デジタル・ツールは、実店舗での体験にも不可欠な存在となりつつある。

2022年、小売企業やメーカー各社は、サステナビリティ戦略を転換し、進化する消費者ニーズに対応したショッピング体験を提供する必要があります。本レポートでは、幅広い年齢層の消費者が何を求めているのか、そして企業が競争力を高めるにはどうすればよいのかについてご紹介します。


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著者について

Karl Haller

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, Global Leader for the IBM Consulting Consumer Center of Competency


Jane Cheung

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, Global Consumer Industry Research Leader, IBM Institute for Business Value


Sachin Gupta

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, Sustainability Leader, Consumer Industry, IBM Sustainability Practice


管野 正人(日本語翻訳監修), 日本アイ・ビー・エム株式会社 IBM コンサルティング事業本部小売サービス事業 パートナー

藤野 敏広(日本語翻訳監修), 日本アイ・ビー・エム株式会社 IBM コンサルティング事業本部小売サービス事業 アソシエイト・パートナー

関 沙織(日本語翻訳監修), 日本アイ・ビー・エム株式会社 IBM コンサルティング事業本部小売サービス事業 パートナー

杉野 恒男(日本語翻訳監修), 日本アイ・ビー・エム株式会社 IBM コンサルティング事業本部小売サービス事業 インダストリー・コンサルタント

Mary Wallace

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, Retail and Consumer Behavior SME, IBM Consulting

発行日 2022年3月1日